黒板の白墨が描いた線のこと

 
 数学の授業中 先生が黒板に三角定規をあてて白墨で直線をシュと引いた。 黒板と定規のすきまからは白い粉がこぼれ落ちている。
 先生が唐突に「直線とは連続していない 点と点の集まりである」と どうだ! 驚いたか! という表情で教室を見回してりる。
 僕は目線を合わさないように そうなんだ!と妙にすんなり理解したのである。 これは すきまからこぼれ落ちる白い粉を見ていての 僕の自由な発想で納得してしまっているだけなのだが そのころの 中学生の僕にはそれが限界だったのであろう。
 なぜなら 「点とは位置情報はあるが部分を持たないものである」 これを僕は0(ゼロ)としか理解でいないからである。 0+0=0 点と点が集まっても“0” 白墨で引かれた線などできないではないか どうなってるんだ ということすら気づかずに 僕の自由な発想は昼の弁当を誰と食おうかと飛び跳ねていたのである。
 しかし なまじっか「点とは・・・」に気づいていたら 中学生で数学の落ちこぼれになっていたか のちは数学博士になっていたかだろうが、 どちらかといえば いや 確実に前者の方だから まあ 高校を卒業するまで気がつかなかったことは自分にとって幸いなことであったと思っている。
  今日の晩飯はなんだろうなー